「結婚」はしないと思ってた。

「結婚」はしないと思ってた。|中前結花

「結婚」なんてしないだろうと思っていた。 それだから、まだ付き合ってもいない彼から唐突に 「なんか……結婚したいですね」 と言われたときは、なんて気の合わない人なんだろうかと首を傾げたものだった。 「結婚は……、どうでしょう」 わたしは答える。 もちろん、そういった幸せのかたちがあることは知っているし、大切な誰かが誰かと結婚するとき、わたしは心の底から「おめでとう」と言うことができた。 けれど自分のこととなると、どうだろう。なんだか途端に妙な気持ちになるのだ。きっと、「自分ではない誰かと、ひとつのかたまりのようになる」 ということに、どうにも違和感があったのだと思う。 たとえばそれ

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2022/08/10